私の看護観である「患者さんに寄り添う」ということについて、深く考えさせられた出会いがあります。
終末期のAさんは、病気によって何も食べることができない状況でした。「普通の生活にもどりたい、ごはんが食べたい。」という思いからセカンドオピニオンを受けられましたが、やはり今の状態で食べるのは難しい、という診断でした。Aさんは「諦められないけれど、どうしようもないよね。」と点滴をしながら退院を目指していましたが、退院予定日の数日前に容体が急変し、緊急手術を受けることになりました。
術後は痛みや発熱が続き、トイレ以外はベッドの上で過ごすしかないという状態で、「もう生きる希望もない、しんどい、あの時死んどけばよかった、早く楽にならないかな。」と涙を流しながら話すAさんに、私は「つらくしんどい気持ちはわかります。でもなんて言ったらいいのか分からない。」と伝えるのが精一杯で、一緒に泣いてしまいました。
私は、Aさんからいただいた言葉が嬉しかった反面、もっと看護師としてできることがあったのではないか、という悔しい気持ちが抑えきれず、胸が一杯になりました。患者さんに寄り添うこととは、一人一人に向き合い、その時の自分ができることに精一杯取り組むということ、そして患者さんとともに最後まで歩んでいくことだと、Aさんに教えてもらいました。これからも多くの患者さんに寄り添える看護を大切にしていきたいです。